変な話になりますが、自伝というのは自分で書くよりも専門の作家さんに頼んで書いてもらう方が、作品としての評価は高くなるのではないかと思います。小説仕立ての方が読み易いし、話の流れが一貫していて、面白くて感動を呼びます。事実を自分で書く形式だと、よほど文才でもない限り読み難く、面白くないし共感を呼びません。これはスピリチュアリティでも同じことが言えます。多くの教典は覚者の言行録と言いますか、ある覚者さんの言動を第三者が書き記したものになるわけです。覚者本人が書いた文章があって比較できると仮定しますと、第三者が書いたものの方が、作品としては優れている可能性が高いのではないでしょうか。しかし、理解し易くしたり、一貫性を持たせるために矛盾点を排除したりして、意図的な改変を加えていると考えるのが自然だと思います。そういう意味で洗練された教典からの方が、二次的三次的な創作物も作り易くなります。要するに、いわゆる覚者さんの話を学者さんがまとめた本からたくさんの二次的三次的なティーチャーさんが生まれ、そうしたティーチャーさんの話は洗練されており優れています。元はと言えば最初の覚者さんの経験に基づいている話なのですから、内容的には正しい場合が多いと思います。だけど実際問題として、内容は良いのに影響力はどんどん小さくなって行きます。良い悪いは別にして、本物は頭で理解するしないに関わらず魂に響き、触れられた以降の生き方が変わってしまいます。内容が系統立っていて説得力があることとは関係がないように思われます。