ほぼすべての仕事において、実力をつけると言ったら知識を得て経験を積むことに等しいと思います。ところがスピリチュアリティではその逆になりまして、知識と経験という名の思い込みやこだわりを全部捨てることが、ティーチャーとして活動をスタートする時点で必要な実力なのです。人間がサバイバルするための能力というのはスピリチュアリティにおいても必要です。しかしそれは、自助努力とか自己啓発に分類されるべきものです。スピリチュアリティと自己啓発はもちろん両立が可能ですが、内容をごちゃ混ぜにしてしまうのは問題だと思います。例えばヒーリング能力や現実を創造する能力を身に付けるという内容はスピリチュアルに分類されることが多いですが、その主目的が自分が健康で豊かな生活を送ることに置かれている限りにおいては、自己啓発に分類されるのが正しいと思います。本当のスピリチュアリティというのは、私の見解ですが、自分のことを一切考えなければ本質に近づいていることになるので、方向が逆なのです。だからと言って、今の時代はまだ自分のことを一切考えないのでは生きて行けないので、自助努力も必要なのです。中庸とか中道と言ったらまさにその通りですが、哲学的に中道を定義しようと思ったらとても長い説明になってしまうのではないでしょうか。自分を空にするところから教えが生まれますが、結局言葉で説明しようと思ったらいわゆる実践知が必要になるという訳です。