スピリチュアル業界には昔から、狭い意味での心の使い方で人生を変えようとする念力系の教えが存在しています。実に様々なバリエーションがありますが、両極端を取り上げますと、一つの極には「すべてを手放せば上手く行く」といった教えがあります。何となくスピリチュアルに聞こえるんですが、手放す目的が願望実現である限りは、そういう心の使い方を手段にする念力系の教えと言えます。もし人間が生きて行く上で必要な当たり前の努力を放棄して、ひたすら奇跡は待つような人を作ってしまう可能性があるとしたら、危険な思想だと思います。もう一つの極には、まずは心を空にして、それからある思考に一心に集中することで、どんなことでも実現できるとする教えがあります。これは人並み以上に能力のある人にとってはプラスアルファの要素になり得ます。ただその目的が願望実現の一言に集約されるとしたら、スピリチュアリティとは全然関係のない念力系の教えの典型だと言えるでしょう。ここでみなさんに念を押したいのは、念力系の教えに興味を持つのは良いことでも悪いことでもなく、当たり前の話だということです。豊かになりたい、病気を治したいと思わない人ありません。貧乏なままでいい、病気が治らなくていいと本気で思う人はいないはずです。困ったことに、念力系の教えを支持したり教えたりする方は、社会的にかなりの地位にいるケースが多ございます。そうすると私のような頭の弱い人間は実際に真に受けてしまったんでございます。それは仕方のないこととして、みなさんは常識的なバランス感覚を持って判断して行かないといけないと思います。