自分が今子供だったらどうだろうかとよく考えるんですが、要するに子供がこれからの人生で人間性を磨き出して行こうとする原動力をどこで得られるだろうかという疑問です。戦前の修身教育が良かったとは言わないですが、昔の時代の方が魂を鼓舞してくれるような高潔な人に触れる機会は多かったように思います。今は偉人の伝記なんかもあんまり読まれなくなっている気がするし、ましてや道を示してくれる人に出会えるチャンスはほとんどないような感じがします。ぼやぼやしていたら、お金さえあればいくらでも楽しみを享受できる西洋式都市生活の枠内で勝ち組に入ることが理想、と考えられるようになるのも無理はありません。流行っているから瞑想でもしてみるか、と気軽な気持ちでスタートしても、いつの間にか高額セミナーに誘導されるのが関の山という有様です。子供にとってほんとに受難の時代だなと思います。初等教育で、この哲学者がこう言ったみたいな内容を憶えさせるんじゃなく、自分の頭でいろんなことを考えさせることから始める必要があるように思います。その際、人生に対する考えに正解はない、自分の考えを人に押し付けてはいけない、という基本を徹底しないといけません。若ければ若いほど理想的な生き方への感受性は強いので、平凡な大人になってしまった私たちは、少なくとも子供の邪魔だけはしないように気を付けるべきではないでしょうか。