行動や行為を通じて神に至る仕事の道というのがありまして、インドではカルマ・ヨーガと呼ばれています。成功や報酬を期待することなく、世のため人のためになる仕事を全力でやる態度というのは、実は神様の気持ちとまったく一緒なので、知らず知らずのうちに神様と一体になってしまうという方法なのであります。自分を犠牲にしろという意味に聞こえてしまい兼ねないんですが、そうではなく、自分も他人も同じように大切にするのが神様の気持ちなので、自己犠牲的な態度というのはカルマ・ヨーガからはやや離れてしまいます。ここで、例えば年収が一千万円あったとして、それをどう配分して使うのが正しいのか、という実際的な問題が持ち上がります。自分と家族のためにそこから三百万円使うのは多いのでのでしょうか、少ないのでしょうか。一千万円をまるまる放棄するという考えもありますが、そうすると今度は自分が誰かに養ってもらわない限り生きていられないことになり、仕事の道としては正しくありません(出家している場合は別)。では、自分の生活費を差し引いた残りのお金をどう使ったらいいのでしょうか。困っている親戚を助けるのがいいでしょうか。慈善団体に寄付するのがいいでしょうか。それともどこかの事業に投資するのがいいでしょうか。神様の視点を持ち合わせていない限り、何が正しくて何が正しくないのか判断するのが難しいのではないでしょうか。ですがそこは常識的な判断でいいんであります。家族を助けるのはいいことですが、いくら家族を喜ばせるためであっても、宝石をやたらに集めたり別荘をいくつも持ったりするのは、カルマ・ヨーガの観点ではよくありません。自分の知り合いや地域のために、できる範囲でお金を使うのはいいことです。自分が好きで得意なことを、一番世の中のためになると思う方向で生かして行くのはいいことです。で、その結果を期待しちゃいけないということなんですが、そこが一番難しいところで、私たちは大概どんなに頑張っても、ちょっとは期待してしまう気持ちを消せません。それができる人だけが仕事の道で完成するわけでありまして、他の道を行った人と比べて、人々を感化し育てる力がとても強いのが特徴です。世の中を変えて行く力になるわけです。