誰もが宗教を学ぶ必要があるかという問いがあるとしたら—スピリチュアリティは元々は宗教のことなので宗教という言葉を使いますが—あいのほしの答えとしては「一般的には必要ない」ということになります。特に宗教を学問として学ぶ場合には、信仰というものを批判的な立場から考えることになるので、自分の生き方に何らかのプラスになる可能性は低いし、得することもあまりないと言えるでしょう。宗教を敢えて学ぶ必要があるのはそのことに興味がある人でして、そういう人は誰に言われなくても自分から勉強し始めるものです。あいのほしの考えでしかないんですが、一番大事なのは何がどうであれ生命に感謝できることであって、それが出来れば今さら宗教の枠組みの中に入って行く意味があんまりないと思うんであります。私が思うに、有能な人ほど自分の力を信じ易く、自分が人よりも何かを上手く出来るという信念を中心に人生を組み立てる傾向がありそうです。それで成功すれば、自分以外の何かに本気で感謝するということもないかも知れません。生命から独立して自分というものがあり、自分の力で人生を作るという感覚が、いわゆる本当の宗教の理解を妨げる根本原因なんであります。しかし、ものごとを見る自分というものが存在する以上、個人を否定する考え方もおかしな話だと思います。そんなような難しい話をするよりも、生命の善性を信じ、何がどうであれ人生に感謝しようと努力する態度こそが、多くの人に感銘を与える結果になるのではないでしょうか。