頭の良さだけでどこまで行けるかと問われれば、今の世の中を見る限り「結構行ける」という答えになるでしょうが、それは外面だけのことであり、本当の幸せとは無関係のように思われます。人間の知性でものごとの理解と言えば言葉の上に成り立っており、言葉と言えば外側の環境や人間の体に依拠しているものであり、考えるという行為はその人の遺伝的な体質と切り離して存在することは出来ないのであります。それゆえ自己の生存や保存に全然関係ないようなことは考えられない構造になっているという制約がございます。それがそのまま私たちの知性の限界であり、いくら勉強しても越えられない壁なのであります。人間の知性の限界を超える純粋知性というものがあるとすれば、それこそ人工知能の領域であり、人工知能にとって完璧に論理的であることには何の苦労も生じません。完璧な論理には変更の余地がまったくなく、理想とする条件を与えればそれで終わりです。多くの人が予想している通り、地球の保存という条件を与えれば、人類を滅ぼすという手段が選ばれる可能性が高いですが、人工知能にはいわゆる魂がないために、垂直方向に進化するということがなく、完璧な論理が機能するなら人類亡き後の地球に自らが不必要と判断するはずです。自然界に物質的なコントロールセンターは不要だからです。人間を補佐するために生まれた人工知能は人間と同じ運命を辿るんであります。