人は元来利己的であるとよく言いますが、人間生きて行く中でそれを裏付ける証拠や経験を蓄積するのに困ることはないわけです。で、人生も終盤に来て「人を信用してはいけない」とか「愛なんて幻想に過ぎない」といった結論に至る人が、残念ながらかなりの数いらっしゃいます。それが本当なら、「この世は地獄」と言って間違いないでしょう。ところが幸いなことに、事実はそうではないのです。でも「人は信用できる」とか「愛が現実にある」といった経験を自分のものにする方法が、当然のことながら必要になって参ります。普通に生きていたんじゃそれが難しいから、伝統的には一旦すべてを捨てるという方法が、やや極端ながらも採られて来たものと思います。もちろん今もって有効な手段ではあるのでしょうが、それは外面的なことではなくて、心の中で捨てる必要があるんだと気づければ最高です。いわゆる捨欲ということですが、これにはあいのほし流の解釈があり、自分を含めた全員の幸せを願うことと、そこに関係しない一切のこだわりを捨てることだと考えます。言葉にすると単純で基本的なことに聞こえますが、大切だと思います。