死生観が人生を生きている間の生き方に決定的な影響を及ぼす、というのは言われてみれば当たり前のようですが、自分がどんな死生観を持っているんだろうとは滅多に自問しないし、また考えてもよく分からないという感じではないでしょうか。西洋と東洋の違いは死生観にある、とよく言われます。西洋人は生きている間をいかに豊かで楽しく充実させるかを考えて生きるのに対し、東洋人は死ぬ時にどういう気持ちで死にたいかという観点から逆算して生き方を考える、と言うのです。私たち日本人は東洋の文化の中にいるので、言われるまではあんまり意識したことがなかったという感じではないでしょうか。葉隠的な観念が私たちの根底にあるとまでは思いませんが、そういう違いがあることが分からないなら、西洋の人たちの考え方をいつまで経っても理解できないことは確かです。逆に言えば、そこの部分さえ分かれば西洋の人たちの言動の理由を理解できるようになり、うまくコミュニケーションが出来るようになると思います。どっちがどうということは言えません。死に偏れば肉体生活を軽視したいわゆる進歩のない文化になったし、生に偏れば経済重視で精神性の薄い文化になったのです。このバランスが図られない限りは、地球人類に本当の幸せは来ないのではないでしょうか。そのためにはバランスの取れた死生観が不可欠という訳で、それに気づいた人たちから何かが変わって行くだろうと思います。