恐怖との闘い

満ち足りた子供時代というものがあったとすれば、ある時点で恐怖との出会いがあり、そこから本当の人生が始まったと言うことが出来ます。脳にいわゆる障害があって、恐怖も苦痛も感じない人生というのもあるそうですが、それが人間の理想の状態かと言うとそうでもないのではないでしょうか。普通の人も脳を手術して同じ状態にしてしまおうという議論には決してならないわけです。それは恐怖には役割があることを私たちは直観的に知っていることを意味しています(前に失敗したことがあったからです)。実際、恐怖にどう向き合うかが、人生を生きて行く上で最も大事なことと言っても過言ではない気がしますが(恐怖の状態にいると、人間本来の力というのは全然発揮されません)、実生活でそのことが語られなさ過ぎます。一方で悟りを自称する人が、ある素晴らしい瞬間以来何かを恐れるということが一切ないと語ったりして、スピリチュアル業界に極端な印象を与えている現状があります。私が思うに、潜在意識に恐怖がうんと溜まっているんだから、それを少しずつでも着実にきれいにして行ければそれでいいんじゃないかな、と思います。でもどうやって? 専門家の助けを借りるというのも一つの手段ですが、自分でやれる方法が一つでも見つかればそれがベストではないでしょうか。どんなにちょこっとずつでも確実に減って行けばそれでいいわけです。と言う訳で、基本は呼吸法だと思います。無理のない範囲で体の特定の部位にある恐怖をしっかり感じながら、呼吸によってそこに気を送るイメージをします。それを「ご先祖様もさぞ辛かったろうな」と思いながらやるといいのです。